Harada Masahiro Lab

原田真宏研究室ゼミ活動 「SYU-MAI」HP

第67回 SHU-MAI結果

テーマ「予想外」


一等:加藤健
講評:森野航平


 紫陽花は、やはり雨に濡れているときが一番艶やかできれいに感じます。千紫万紅に咲く紫陽花も良いですが、街角にひっそり咲いている姿も乙なものです。


 さて、67回目となる今回のテーマは「予想外」です。
各々が予想の一歩外側に踏み出すものを作ってきました。


 ところで、この「予想外」というキーワードは、建築家を構成する欠かすことのできない要素の一つなのではないでしょうか。私はまだ実務を知らぬ一介の学生にすぎませんが、臆せずに言うのならば、現在に満足せず、常に新しいモノや考え方、見方を提案してくことが建築家の職能であるように思います。
このように考えている私なので、実は今回のシューマイは非常に楽しみにしていました。


 話を戻しますが、持ち寄られた作品は多種多様、どれもうまく予想を裏切るような空間の提案がなされていたと思います。特に、小川君の飛び出す絵本をそのまま建築にしたようなプログラムには驚きました。(下段一番右)




さて、今回の一等は異端でした。
加藤君作の「予想外」です。




 説明しますと、これは今日のシューマイゼミの席順を「予想」した模型です。一瞬頭を疑問符が駆け巡ります。それでは予想外ではないじゃないか、と。
さらに説明を聞くと、実のところ彼の作品はこれではない、と言うのです。
曰く、このシューマイゼミの、今まさにしゃべっているこの「場」が作品である、と。



本日のシューマイゼミの様子。


 即ち、彼は今日の議論の席順を予想し模型を作り、さらに模型通りの席順になるように事前に巧妙に席配置を模型通りになるように誘導したのにもかかわらず、結果、そうはならなかった。ゆえにこの「場」が予想外である、というのです。


 空間的に面白いところは全くないですが、我々が参考にすべきはこの構想力でしょう。
予想外を表す模型を作ることそれ自体がすでに予想されているものだとしたら、と思索を進めた結果だと推察しますが、実に見事に予想の外に場外ホームランを放ってくれました。



参加者:石本、森野、福山、深山、須永、平良、小川