Harada Masahiro Lab

原田真宏研究室ゼミ活動 「SYU-MAI」HP

第143回「いろはす」

令和五年度原田真宏研究室B4によるSHU-MAI第7回目を迎える。
今回のテーマは「いろはす(ペットボトル)」である。

 

今回は、今までに一度やったことのある、ペットボトルの形そのものを使って表現する、という試みだった。

本当に同じ素材を使っているとは思えない多様な案に驚かされた。

【飯泉案】

「規則的不規則」

 

 

【井浦案】

「なじむ」

 

 

【鈴木案】

「梅雨」

 

【服部案】


「帯」

 



【中西案】


「みずのきもち」

 

【松野案】

「tokeru」

 

【江口案】

「ウラオモテ」

 

【町田案】

「場リエーション」


【総評】

今回のお題はペットボトル。
提出の形式は、模型とタイトル、そしてダイアグラムや写真イラスト等のビジュアルである。
第6回のSHU-MAI「華やか」において裏テーマとして設定した「ラフに」に一定の手ごたえを感じ、今回も裏テーマとして「ラフに」を据えた。また形式にビジュアルが加わったことで、各々のフォーマット全体の表現手法にも変化が生じたように思う。

中西案は、水を擬人化して捉え、水が重力によって落下するとき水が感じるイメージを形にした。
井浦案は、いろはすのなじむような手触りから、1/50の添景スケール視点でなじむ操作をペットボトルに加え、空間にした。
鈴木案は、水を飲んだ際にペットボトル内部で起こる水の残量の不規則な変化をレベルの変化として捉え、空間化した。
町田案は、いろはすのペットボトルが持つ部分ごとの形や手触りと、その切断面の加工方法の組み合わせが生む場の多様さについて考えた。
江口案は、ペットボトル容器の持つ裏と表のかたちの関係を反転させることによって、内部と外部が反転したような空間を作った。
飯泉案は、ペットボトルを潰した時の一見不規則な形の中に規則性を見出す視点に立って空間を考えた。
松野案は、ペットボトルが持つ柔らかさや水の透き通ったイメージをペットボトルとは異なる材料を用いて形にした。
服部案はペットボトルが持つリング状の特徴的な切断面に着目して形を操作し、どこか温かみのある空間を作った。

今回は、ペットボトルそのものが持つ合理が各々の合理で作品に用いられたときに生じるズレが、普段何気なく使用しているいろはすのペットボトルの持つ面白さを多様にしていたと感じる。
総評では各々の作品を相手に伝える手段として、模型やフォーマット下のビジュアルの表現の在り方が話題として挙がった。それは「ラフさ」によってより広がりを見せた各作品の色に合わせてつつ、自身の作品をどう相手に伝えたいかによって、柔軟に変化すべきであるという結論に至った。
一方で、より文脈を意識した設計をしたいという意見が挙がった。「ラフさ」によって無意識のうちに欠如していた感覚であるかもしれない。そこで次回のSHU-MAIでは、周辺環境や光の当たり方といった、作品の周りのもつ文脈を意識して設計することが条件に加えられた。
次回のSHU-MAIのテーマは「、」である。周辺環境や光の当たり方を意識しながら、より建築として豊かな空間を思考することを目指す。

(文責:井浦)

 

 

【次回:第144回】

SHUMAI 第8回 
テーマ:「、」 
            →「自分の居たい空間」

6/23 15:10~18:30 (出力など時間厳守)

《最終成果物》
タイトル+ 150mm角の模型+ 200字以内のテキスト


《条件》
•ラフに、丁寧に

お楽しみに!

(文責:中西)