令和五年度原田真宏研究室B4によるSHU-MAI第4回目を迎える。
今回のテーマは「すべり台」である。
今回は、前回とは異なり、タイトル、模型の他にコメントをいれるのではなく、視覚的に作品を表す、ダイアグラムを添えるという方法を取った。
ダイアグラム等は写真を参照してください。
【飯泉案】
『知覚角度係数』
【井浦案】
「解放」
【鈴木案】
「サイクル社会」
【服部案】
「寄生住」
【中西案】
「環世界」
【松野案】
「滑り台へのたらしめ」
【江口案】
「台裏」
【町田案】
「義務恐育」
【総評】
今回は前回まで行ってきたテキストによる説明という方法ではなく、イメージスケッチやダイアグラムなどのビジュアルのみで作品を説明するという方法での試みをした。
今回のテーマ「すべり台」に対し自身の思い出や体験、言葉から連想されるイメージ、社会的な位置付けなどそれぞれの着眼点を通して作品がつくられていった。それらの設計順序やイメージなどがビジュアル(イラスト)化された説明から、受け手が考察するという方法を取ることで、作者の意図と受け手の解釈がどれほど一致するか、その解釈一致に対してビジュアルがどのような影響を与えたかというのが今回のSHU-MAIの裏テーマとなった。
井浦案は横に倒すことで本来の機能を持たないすべり台にすべり台の体験で発生する三段階の感情を物質化したカタチを組み合わせることですべり台を表現した。町田案はすべり台への過去のトラウマから来る恐怖心をカタチにして表現した。共にすべり台に対する思い出や体験に着目しそれをカタチにして表現したという点で共感と議論を多く生む作品であったとともに、作品に対するビジュアルでの説明に誤解が招かれ、議論を生んだという点においても類似していた。
全員発表後の議論においては、テキストを一切使用しないビジュアルのみでの説明という方法に対し、テキストが使用できないという縛りを設けることのトレーニング価値について多くの意見が交わされた。結論としては、作品に対して説明を行う時、テキストが持つ力とビジュアルが持つ力にはそれぞれ異なった力があり、それが得意とする方を説明すべき適した箇所に与えるために、それらを正しく見極める力が必要であるとなった。
したがって今回の様にビジュアルのみで説明をするという縛りを設けた回では、「何の説明をどのようなビジュアルで説明するか」を見極めて作成する力のトレーニングができるという考えにまとまった。
次回に向けて今回を含め過去4回行ってきたSHU-MAIを振り返り、お題と説明方法の特徴について分類を行ったところ、お題に対しては「言葉」「カタチ(意味的な文脈を持たないマテリアル)」という分類ができ、説明方法には「テキスト」「ビジュアル」「なし(タイトルのみ)」という分類ができた。そこに空間からのインスピレーションを表現する力を鍛えるべく生まれた新しいお題の分類として「空間(意味的な文脈を持たない純粋な体験)」を追加し、縦軸にお題、横軸に説明方法を持つ9つのマスの表を作成した。
よってこの表における「空間」×「テキスト」のマスを行うべく、「豊洲フォレシア内オフィスのエントランス空間」が次回テーマとなった。
SHU-MAIを筋トレとして扱う私達は、トレーニング後、どの部位にどれだけの効果があったか、常に疑いの目を持ちながら議論を交わし、トレーニング方法をブラッシュアップする。そのため、トレーニング方法は回を重ねるごとにより複雑に変化していきながら、負荷は大きくなっていく。それらのプロセスをInstagramなどを通して記録することでプロテインを摂取し、私達は筋肉をより美しく、より肥大化させていくのだと、服部が言っていたのを記憶している。
(文責:江口)
【次回:第141回】
SHUMAI 第5回
テーマ:「ASOKO」(豊洲フォレストのエントランスにて各々が空間を体感する)
《最終成果物》
タイトル+ 200字テキスト +150mm角の模型
訪れた日付時間を記録すること
《条件》
•ASOKOの1階のロビーらしき場所に訪れ、その1つの内部空間から感じる、すべてのコンテクスト(行き交う人、窓から見える外の景色、スケール感、素材感など)を踏まえた体験を、模型とテキストにする。
→ただしそこまでの道のりや、豊洲性や地理的位置づけなど相対的な全体から導かれる感覚は極力排除とし、純粋にその内部空間で感じるものを対象とする。
→テキストは直接的でも間接的でも可とする。
《進め方》
・タイトルテキスト隠す
・テキストで補助、ビジュアルはダメ🙅🏻
お楽しみに!
(文責:中西)