Harada Masahiro Lab

原田真宏研究室ゼミ活動 「SYU-MAI」HP

129回「筋肉」

令和二年度原田真宏研究室B4によるSHU-MAI第6回目を迎える。

今回のテーマは「筋肉」

皮膚に一番近い構造体、「筋肉」について考えた。

 

最優秀賞は、鈴木案 。


 

『筋肥大』

 

「トレーニングなどの負荷によって傷つけられた筋繊維は、超回復によって修復される際に大きく成長する。つまり、筋肉は破壊と修復の繰り返しによって肥大化する。
ここでは、建築の壁が一部破壊され、それを修復するように新しい壁が覆い被さり、その繰り返しによって空間が広がっていく。
また、筋繊維が筋原繊維という軸の秩序に従って肥大していくように、この建築では中央通路が秩序となり空間が肥大化していく。」

 

講評

建築を過度に利用することは、空間もしくは部材の老朽化につながる。その欠損と修復の繰り返しは、筋力トレーニングという行為と似ていると考えられる。しかし、筋肉は超回復という現象により破壊前より強度と大きさが増すという点において、単なる建築の修復とは異なる。
建築における従来の補修を単に元に戻そうとする力だとしたとき、この提案における補修とは、元の状態からアップグレードしようとする力である。
筋力トレーニングによる超回復に視点を置いた案は他にも見られたが、この案はそのモデルをわかりやすく表現した点で評価された。

 

 

総評

出展された案は大きく三つに部類分けできる。一つ目は、破壊と修復という筋肉の性質を利用した案。二つ目は、筋肉の緊張と緩和の動作を現した案。三つ目は、目には見えない筋肉自体の静的な力関係を構造として再現した案。どれも筋肉のもつ性質をよく考察し、設計されていた。
筋肉の動的な構造関係を、建築の静的な構造にいかに落とし込んでいるのかが議論の主題となった。

次回:7月7日「プレゼント」

出案者:粟竹、安藤、近藤、柴垣、鈴木、中村、前田
文責:秋本、安藤