令和二年度原田真宏研究室B4によるSHU-MAI第7回目を迎える。
今回のテーマは「プレゼント」
誕生日やクリスマスなどきれいに包装された包みを解いていくその行為は誰もがワクワクするだろう。中に込められた対象と同等に開けていく様は喜びがあるだろう。
反対に、渡す側の気持ちも想像できるだろう。渡す相手によって商品を選び、そして悩む。そのドキドキ感も「プレゼント」と言えるだろう。
各々が20数年で経験した「プレゼント」を空間化することを期待した。
最優秀案は安藤案
『その先』
「プレゼントというワードには喜びの感情が当てはまるが、渡す側の視点に立つと、その行先までの道のりは喜びの「わくわく」と共に、不安、ストレスがかかるものである。
また、受け取る相手との関係性、どれだけ相手のことを知っているかなど、その深さによってプレゼントの価値(思考する濃さ)が定まるのではないか。まさに勇気を出して飛び込む思いである。
相手との関係を層として置き換え、生まれる洞窟をその先の見えない不安や恐れの表れとして空間化させた。
洞窟に対して、物怖じしたくなる感情を抱きながらも、その先にあるかもしれない笑顔を見るために暗闇の中に飛び込んでいく。」
講評
プレゼントを考えるべき条件を層として重ね、相手を思う気持ちを深さで表現した案。この深さに黒いスプレーで着色がされ、相手の反応を不安視する不安定な状態が表された。模型の表現から、プレゼントをあげる立場として、ネガティブな印象が受け取れる。このプレゼントをあげる相手は、上司や社長など目上の立場がある人なのだろうか。と推測する所から議論が生まれた。様々な不安要素の中でプレゼントを選ぶが、その模型の奥には薄らと明かりが見え、相手が喜ぶ期待もあったのではないか。
総評
今回出展された案は大きく二つに分類できる。
一つはプレゼントを渡す、もしくは受け取るときの感情に着目した案。渡す相手の反応を想像することで生じるドキドキや不安といった感情。反対に受け取ることの喜びや心躍る様子を模型に落とし込む案などが見られた。
二つ目はプレゼントの包装を解く動作を表した案。リボンをプレゼントの具体的要素と捉え、リボンが渡す人と受け取る人を結ぶ。プレゼントが介する関係性に注目した案として意外性を感じた。
プレゼントが与える”喜び”とは、包まれた中身に秘められているのではなく、美しく包まれたその形態とそれらをほどいていく行為から生じる感情であるのだろう。
7月21日「油」
出案者:粟竹、安藤、近藤、鈴木、前田
文責(講評):粟竹
文責(総評):安藤