Harada Masahiro Lab

原田真宏研究室ゼミ活動 「SYU-MAI」HP

第142回「華やか」

令和五年度原田真宏研究室B4によるSHU-MAI第6回目を迎える。
今回のテーマは「華やか」である。

 

今回は、今までとは異なり、「自分のいたい空間」という裏テーマを設け、表現するという新しい試みをした。

それにより、今までよりも、恣意的な表現があることに対しても寛容に、その作品の良さについて議論することができた。

 

【飯泉案】

「包摂」

 

 


【井浦案】

「石森=川」

 

 


【鈴木案】

「梅雨」

 


【服部案】


「帯」

 



【中西案】


「魅力箱」

 


【松野案】


「遠く」

 


【江口案】

「華やかになる条件」

 


【町田案】

「気分」


【総評】

「華やか」総評

今回は、テキストやビジュアルでは伝えず、タイトルと模型表現から、「自分のいたい空間」を「ラフに」作ることを試みた。

今回のテーマは『華やかさ』。テーマがありつつも、「自分のいたい空間」という裏テーマがあったことで、重きを置くテーマが人によって様々であった。

前回までは、論が1から10まで決まっており、その論に形を完璧に対応させようとして、空間構築において、凝り固まってしまっている人が多いような気がしていた。しかし、今回は何かしらのインスピレーションは言葉から生まれているものの、できた空間に対して、「なんか、この空間いいよね」という発見を通じて議論が弾んだ。このような、偶然生まれた"なんかいい"を尊重することも、実務でもあるのではないか、という考察も生まれた。

江口案の「ボリュームをずらした方が面白くなりそう」のように、面白い空間を偶々生み出す為の嗅覚が生まれ始めた、という一通りの公共空間を設計してきた、B4という今の自分らの成長も感じた。
「華やか→着物」から着想を得て、帯に利用する動作を取り入れ、素材記憶のある、内外の間のカーテンっぽい空間に応用した服部案や、樹木単体で見た時に、樹木単位では華やかに思われにくい幹の部分も、全体像を明確に把握した上で、切り取って見ると良い見え方がするのではないか、と言った具合に視点の変え方次第で『華やか』の定義が変わってくる飯泉案など、『華やかさ』から生まれる、新たな発見が生まれる議論が出来たことは、凄く良いことだと感じた。
一方で、「自分のいたい空間」という点でも、『「ずっと」いたい空間』を家具スケールから考える中西案や、『「一瞬でも」いたい空間』を大空間から考える鈴木案など、各々「自分のいたい空間」のスケールが様々であったことにより、多様な議論をも生むことができた。

「ラフさ」を意識したが故に、各々なんとなく感じていたことを形にし、論に持ち込んだことで、卒業設計でもそろそろ取り上げたいと考えていた、空間論についての議論ができたので、とても貴重な会になった。
また、主観でいいことを認め合ったテーマであった為、各々のやりたい事をしていたこともあって、批評的な議論になることが少なく、誰かは記憶が曖昧だが、卒業設計のテーマで扱っているような多様性を認め合い、華やかな議論を進めることができ、今までのSHU-MAIよりも、いい意味で軽く議論ができた。

今回のをふまえ、「自分のいたい空間」と「ラフさ」は裏テーマ的に残していきたい。また、「華やか」というテーマによって、主観で捉えていい、という感覚がよりラフにできることにつながった。次回は、「🥚」のように、既存の形から空間を生み出し、ビジュアル化によって表現するトレーニングをする。そこで使う素材は、模型に用いる加工性、入手のしやすさ、想定される形のバリエーションにより、「ペットボトル(そのものの形)」に決まった。
———選ばれたのは、いろはすでした。

(文責:町田)

 

 

【次回:第143回】

SHUMAI 第7回 
テーマ:「いろはす」 
            →「自分の居たい空間」

6/23 15:10~18:30 (出力など時間厳守)

《最終成果物》
タイトル+ 150mm角の模型+ 200字以内のテキスト


《条件》
•ラフに、丁寧に

 

お楽しみに!

(文責:中西)