テーマ 「錆」
同列一等:平良千明
講評:森野航平
今回のテーマは「錆」です。
金属の表面に経年変化で現れる酸化物の一般名称ですが、今回は建築にもなじみのある物質ということで
どのように形にしていくのかが多少難しかったように思います。
錆という、良くない印象の払拭を試みた提案が数点ありましたが空間の提案としては今一つ届かなかったように思えます。
というのも、どうしても概念的な説明に終始してしまい、模型との結びつきが弱いように思えました。他方、素直に錆を用いた住まい方や、錆そのものに注目した作品もありました。
そんな中での今回の一等は平良さんです。
彼女は赤錆、黒錆という性質の違う二種類の錆に注目して、あたらしい外壁のようなものを作ってきました。
赤錆は赤茶色の錆で、これは放っておくとできた錆を土台にしてどんどん金属が侵されていく性質があります。
よく目にする厄介者の錆でしょうか。他方黒錆は、金属表面にできた錆自体が強固で、それ以上の浸食を止めてしまいます。この両者の、【浸透】【遮断】をパタパタ回転するタイルの非耐力壁で表しています。
住み手が自由に開口部を選択できたり、表裏に違う色を塗れば一様でない壁にもできたりと、手広く工夫できそうなアイデアでした。
次回のテーマは「バーコード」です。
参加者:森野、須山、石本、小川、加藤、須永、平良、田中、深山、福山