Harada Masahiro Lab

原田真宏研究室ゼミ活動 「SYU-MAI」HP

第77回 「布団」

テーマ「布団」
同列一等:北口絵里奈、九里そよ
講評:山中森

今回のテーマ、布団は寝具であることから、睡眠、寝るということがコンセプトの支柱になっている作品が多かったように感じました。布団は考えるに服の次に身体と近い距離で外部から身を守る膜のようなもので、建築という身の安全が確保された中でさらに自分の身を覆う役割を担っています。そのため建築のような構造体を持っておらず、身体にまとわりつき安心感を得られような形状になっているのではないでしょうか。いうならば中入っている人間の骨格そのものが布団の構造体で、常にそれによって形が変化するような包容力を持っています。そのイメージからか、今回模型に使用されている材が皆一様に布団的非構造物であるやわからなものでした。ちなみに、今回一等を取れたお二人の共通項として、お二人だけそれらの材を使用していなかった点です。

今回の一等、北口さんの案
朝起きるとなかなか布団から出たくないという誰しも共感できる布団あるあるを空間化した作品です。上の板状の世界が起きている時の世界で、そこから眠りに落ちるようにすり鉢状の錐体を抜け、眠りの空間に移ります。口がすぼまっているこの形状は、眠りに落ちるのは容易だが、起きるのは大変であるということを意味しています。

今回の一等、九里さんの案
布団の中身は羽毛のような綿でできており、日頃布団を使用していてそれだけにフォーカスされることはありません。そんな状況を建築空間の中で考えてみると、設備などがそれにあたるのではないかという考えです。日頃隠されている設備空間を表面化し、その中で設備とともに暮らすことを提案されました。模型でいうと黒いコードのようなものが、配線などの設備系統で、それが人が暮らせるまでのスケールに拡張されています。もし、外的環境の悪化が進み設備環境の進歩が進むことで将来このような住環境になるのではないかという、アイロニカルな視点も含まれているのではないでしょうか。

次回のテーマは「行列店」です。

参加者:大久保、小川、神崎、北口、九里、田畑、深津、藤本、山中