Harada Masahiro Lab

原田真宏研究室ゼミ活動 「SYU-MAI」HP

第94回 「非常口」

今回のテーマ「非常口」
一等:小泉菜摘
講評:小泉菜摘


 今回のテーマは「非常口」です。普段何気なく生活していると、「非常口」を意識することはあまりありません。しかし、日常の中ではただの出入り口として空間の中に溶け込んでいても、実際に災害にあった時、私たちは非常口のサインを探して脱出を試みることになるでしょう。
 「非常口」は、必要に応じて開けられた出入り口に対し、人間が強引に「避難通路」としての意味を付け加えたものであると捉えたり、「非常口」といえば緑と白のピクトグラムが思い浮かぶと思いますが、そのなかで逃げようとしている緑の人物の、出て行った先の空間を模型にしたものもありました。



今回の一等、小泉の案




 災害時、「非常口」を出られれば生きて逃げられますが、出られなければ死が待ち受けています。図面上ではただの開口部に過ぎず、線として描かれる「非常口」ですが、空間にするために積分するように線に厚みを持たせてみると、「非常口」という空間は「生」と「死」の両方が混在する空間になるのではないかと考えました。模型として階段を上った先にあるボックスのなかが「非常口」という空間です。その中には今にも落ちそうな一本の細い道があるだけです。ここを無事にくぐり抜けられれば外に生きて帰ってくることができます。しかし一度落ちてしまえば死が待ち受けています。
 「非常口」という線的な要素を空間にしたことで、シュレディンガーの猫のボックスと同じような、実際ではあり得ない空間を発見することができました。
 

 次回のテーマは「星座」です。


参加者:堀場、三浦、小池、岡本、小泉、安藤