今回のテーマ「梅雨前線」
一等:宍戸元紀
講評:平井悠大
ジメジメと湿度の高い日々が続きます。春から夏への間に訪れる陰性の強いこの時期は日本の雨季、梅雨です。
イメージ性の強い「梅雨前線」というテーマに対し、魅力的な作品が多くあつまりました。
解法として、季節の移動・平衡を図式として捉えたもの。雨から感じられるストーリー性を魅力的な物語空間として提示したもの。そして、雨の体験に対する一歩引いた視点からのパロディ的具現化がありました。
今回の一等は表現と、ストーリーに不思議な魅力を持った宍戸くんの作品です。
人々は通常雨に対し、その発生原因をある程度気にし、意識しています。一方この時期においてその意識は薄れ、その由来は「梅雨」の一言のもとで解決されてしまいます。
部屋の上部に伸びる管から窓に対しシャワーが降り注いでいます。室内にいる人はこれを一意的に「梅雨」と疑問に思うことはありません。一方で外部から眺める人々にとっての現れはとてもシュールな光景です。
自明と思われることにこそ発見の端緒がある、そうした子供のような”ナゼ”の力を再発見させられ。また、模型表現もそうした純粋な疑問の可愛らしさを具現化したような、イラスト風の愛おしさをみんなに与えました。
小さな物語の、小さな調和が素晴らしい作品です。
次回のテーマは「浮気」です。
参加者:木村、味村、林、瀬川、藤澤、平井、宍戸